待ち合わせ


隠し事なんて苦手だから、秘密にしててもすぐにばれた。
それでもなるべく人目を避けたくて。
毎日こそこそ友達の輪から抜け出して、目指すは一目散にあの人の待つ下駄箱。
一秒一分さえ惜しいと思える。こんな風に心が躍るのは、いつぶりだろう。


すれ違うたびに皆が振り返るような、美しい人。
名前の通りだよねって、誰かが言った。その通りだと思う。


あたしだって、つい最近までそっち側の人間だった。
遠くからあの人を見つめることしか出来ない、気にも留められない存在。
それでおしまいのはずだった。憧れで終わる、はずだった。


「…〜っ舞美ちゃん!」


息が切れるほど、急いで走った。
すれ違う先生に注意されても、今日だけは言うコト聞いてる暇なんて、なくて。



「おっそい、愛理ー」



舞美ちゃんは唇を尖らせて、わざとらしくそう言った。
どれくらい待たせたのか分からない。けど、いつもみたいににこにこ笑ってる。
ばくばくと鳴る心臓は、きっと走ったせいなんかじゃなくて。
たぶん、自然と繋がった手と手のせい。



「今日はどこ行こっかー」
「ん、どこでもいい」
「愛理、いっつもそればっかじゃん」
「だって、ほんとのことだもん」



しょうがないなあ、なんて言って、二人して門を出る。
これからどうするかなんて、いつも決まらないことを話し合う。
結局わざと遠回りしてバイバイするだけの帰り道が、すごく楽しくて。




特別だよって、言ってくれた日から。
あなたを好きになった日から、ずっと幸せ。









































亜弥ちゃんの「待ち合わせ」を聴いてたら自然と手が…!
こういうべたべたなお話が好きだったりします。
駅とは違うほうへ歩いてく二人の今後に期待!w


あ、続きませんよこれ←