通学ベクトル−4

雨が降る。わくわくとした期待を胸に、愛理は曇り空を見上げてくんくんと空気の匂いをかぐ。
湿り気を帯びた空気はじとじとしていて、じきに雨が降ることを知らせていた。


会いたい人がいた。雨に打たれても太陽のように笑うあの人が、今日も愛理を待っている。




「愛理」




ぽつり、と鼻先に雫が落ちる。顔を上げると、先輩が目を細めて笑っていた。
途端に違和感を覚える。名前で呼ばれたのは、これが初めてだった。



「何か考え事?」
「え…」
「ココ、皺寄ってるよ」



ちょん、と眉間を人差し指でつつかれて、愛理は小さく頷く。


隠しようのないことだった。
先輩のことが気になるのは、傘を貸してくれた優しい人だからという理由だけではない。
暇さえあれば、考えるのは先輩のこと。
頭の隅に追いやろうとしても、中心に渦巻く思いは形を変えることはない。
点滅する青の信号をぼうっと見つめる。シグナルは赤に変わって、ほっとした。



「あの」
「うん?」
「いいんですか?」
「何が?」
「あたしとこういう風に、一緒に帰ったりして」



悪いことをしている気分になるのはなぜなのか。
愛理が先輩を独占してしまっているようで、先輩を追いかけている他の生徒からどう思われているのか気にかかる。
早貴のこともあり、後ろめたい気持ちがないわけでもない。



「愛理は、嫌なの?」



横顔を覗き込まれて、愛理は咄嗟に首を横にふった。



「なら、いけないことなんてないと思うけどなぁ」
「…そう、ですか」
「あたしが決めたんだもん。雨の日は、愛理と一緒にいたいから」



どくん、と心臓が大きな反応を示す。信号が青に変わって、先輩が愛理の肩をぽんと叩いた。



「だから好きなんだ、雨」



私もです、と言いかけた口を閉じて、信号を渡った。
雲の割れ目から太陽が見える。歩道を渡り切る手前、見上げた空から光が差した。

































州*´・ v ・)<期待しちゃって眠れないってこういう気分なの♪
ノソ♯^ o゚)<…!


℃紺DVDマガのんkskが矢島にセクハラされて喜んでるの見て悶えました